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HP制作・サイト運用

HP の制作会社と連絡が取れない——サイトを止めないために管理を取り戻す手順

結論から書くと、ホームページの制作会社と連絡が取れなくなったときに最初にやるのは、ドメイン・サーバー・SSL 証明書の期限と、支払いの経路を確かめ、何がいつ止まり得るかを知ること です。そのうえで、自社がログインできるものを棚卸しし、止まる前に取れる控えとバックアップを取ってから、期限の近いものから順に管理を戻します。サイトの作り直しや次の依頼先探しは、その後でも間に合います。

この記事では、PHP などで作った業務システムの引継ぎと、期限を管理し続ける仕組みは扱いません。業務システムの場合は「開発会社と連絡が取れなくなった PHP システムを引き継ぐ手順」で、期限の管理は「SSL 証明書とドメインの期限切れを防ぐ管理——担当者が変わっても止まらない仕組み」で説明しています。ここでの対象は、会社案内などのホームページ(WordPress のような CMS で作ったものと、HTML のファイルで作ったもの)です。

何が、いつ止まり得るかを先に確かめる

制作会社が窓口になっていたものは、制作会社が動かなくなると、更新されないまま期限を迎えます。最初に、止まり得るものと、その期限を一覧にします。

対象 止まったときに起きること 期限の手がかり
ドメイン サイトとメールの両方が使えなくなる WHOIS(下記)、更新の案内、請求書
サーバー サイトが表示されなくなる。サーバーのメールを使っていれば、メールも止まる レンタルサーバー会社からの契約や請求のメール
SSL 証明書 ブラウザに警告が出て、そのままではページが開けない ブラウザで証明書の情報を表示する

JPRS のよくある質問は、急に Web やメールが使えなくなったときの主な原因として、更新手続きの漏れなどでドメイン名が廃止されたことを挙げ、管理指定事業者(ドメインの登録を取り次いでいる事業者)に連絡するよう案内しています。

ドメインの期限と名義は WHOIS で見る

.jp のドメインは JPRS WHOIS で調べられます。JPRS の公開項目の一覧では、example.jp のような汎用 JP ドメイン名は「登録者名」「有効期限」とネームサーバーが、example.co.jp のような属性型は「組織名」「状態」とネームサーバーが公開されています。属性型の有効期限は、表示例にあるとおり「状態」の欄の括弧の中に出ます。

.com などは、ICANN の FAQ が案内する ICANN Lookup でドメイン名を検索すると、「Registrar」の欄で登録事業者が分かります。期限は、その事業者の管理画面や請求で確かめます。

支払いが制作会社を経由していないか

制作会社への月々の支払い(保守料など)に、サーバーやドメインの費用が含まれていると、制作会社が事業者への支払いをやめた時点で止まります。請求書の明細で、何の費用が含まれていたかを確かめます。契約が自社の名義で、支払いも自社のカードや口座からなら、自社で更新できる可能性があります。

自社が持っているものを棚卸しする

次に、管理画面ごとに「自社の誰がログインできるか」を確かめます。ログインできないものは、手がかりになる書類やメールを集めます。

対象 確かめること 手がかり
CMS の管理画面 自社のアカウントがあるか。権限は管理者か 納品時の資料、ログイン画面の URL
サーバーのコントロールパネル 契約者の名義、ログインできるか、ファイル転送(FTP など)のアカウント レンタルサーバー会社からの契約のメール
ドメインの管理画面 登録者の名義、登録事業者、ログインできるか WHOIS、更新の案内
DNS(ドメインとサーバーを結びつける設定) どこで管理しているか WHOIS のネームサーバー
メール メールがどのサーバーにあるか、アカウントを誰が作れるか DNS の MX の設定(下記)

CMS は「管理者」の権限があるか

WordPress の公式ドキュメントでは、1つのサイトのすべての管理機能を使えるのは「管理者」で、権限の表でも、プラグインや本体を更新できるのは管理者(とマルチサイトの特権管理者)だけです。「編集者」のアカウントしか無い場合は、更新の作業ができません。

管理者のアカウントがあってもパスワードが分からない場合、通常は、ログイン画面のリンクから登録されているメールアドレスに再設定の案内を送ります。そのアドレスが制作会社のものだと届きません。公式ドキュメントには、データベースの管理ツールから再設定する方法も載っていますが、データベースを直接書き換えるため、次の節のバックアップを取ってから行います。

DNS とメールの場所は、外から調べられる

DNS の管理画面に入れなくても、今の設定の一部は外から調べられます。NS(DNS を管理しているサーバー)、A(サイトのサーバーの IP アドレス)、MX(メールを受け取るサーバー)、TXT(迷惑メール対策の SPF などに使う)を、dig で確かめます。

dig example.com NS +short
dig example.com A +short
dig www.example.com A +short
dig example.com MX +short
dig example.com TXT +short

+short は答えだけを短く表示する指定です。結果はテキストで保存しておきます。DNS の管理先を移すときに、同じ設定を作り直す材料になります。dig で分かるのは、名前と種類を指定して問い合わせたものだけなので、サブドメイン(shop.example.com など)を使っていれば、その名前でも調べます。

止まる前に、取れるものから控えとバックアップを取る

設定を変える前に、今の状態を手元に残します。何にログインできるかで、取れるものが変わります。

サーバーに入れる場合

WordPress の公式ドキュメントは、サイトを元に戻すにはデータベースとファイルの両方が要るとしています。ファイルは WordPress 本体、テーマ、プラグイン、アップロードした画像など、wp-config.php、.htaccess で、投稿などが入ったデータベースは別に書き出します。同じドキュメントは、多くのホスティング事業者がサーバー全体をバックアップしていても、そこから取り出すには時間がかかるとして、自分で取って戻せるようにすることを勧め、少なくとも3つを別々の場所に保管するよう書いています。

HTML のファイルで作ったサイトは、公開ディレクトリのファイル一式と、.htaccess などの設定ファイルを取ります。問い合わせフォームのプログラムがあれば、その設定ファイルも含めます。

CMS の管理画面にだけ入れる場合

WordPress のエクスポートで、投稿、固定ページ、コメント、カテゴリやタグ、ユーザーなどを XML のファイルに書き出せます。テーマやプラグインのファイルは入らないので、ファイル一式の代わりにはなりません。サーバーに入れるようになったら、上の方法で取り直します。

どこにもログインできない場合

dig の結果に加えて、公開中のページの文章と画像を保存します。作り直すときの原稿になります。

期限の近いものから、管理を自社に戻す

一覧の期限が近い順に進めます。進め方は、名義が誰かで分かれます。

  1. 名義が自社のもの。 契約先の事業者に、契約者であることを示してログインの回復を相談します。支払い方法を自社のものにし、更新の案内が届くアドレスを、自社の複数人が読む共有のアドレスにします。.jp で管理指定事業者が分からない場合、WHOIS には表示されませんが、JPRS の案内によると、登録者か連絡窓口であることを確認できれば、JPRS の窓口が教えてくれます。
  2. 名義が制作会社のもの。 登録者や契約者の変更、別の事業者への移管といった手続きが必要になります。手続きは事業者ごとに違い、名義人の手続きが要ることもあります。契約書や請求書など、自社のサイトとして使ってきたことを示せる書類を揃え、期限に間に合うよう、ほかの作業より先に事業者へ相談します。
  3. CMS の管理者アカウント。 自社の担当者用に管理者のアカウントを作り、登録するメールアドレスを自社のものにします。制作会社のアカウントは、止める前に、通知の宛先などに使われていないかを確かめます。
  4. SSL 証明書。 サーバーの機能で発行している証明書なら、サーバーの管理を戻すことが先です。更新の条件は、契約しているサーバーのマニュアルで確かめます。別に購入した証明書は、発行元と、更新の手続きを誰がしているかを確かめます。

運用の引き受け先を決める

管理を戻した後、日々の運用を誰がするかを決めます。決めずにおくと、担当者が代わったときに、また同じ状態から始めることになります。

作業 決めること
ドメイン・サーバー・SSL の期限と支払い 誰が一覧を持ち、どの支払い方法で更新するか
CMS・プラグイン・テーマの更新 誰が、どの頻度で適用し、表示を確かめるか
バックアップ どこに、何世代残すか。戻せることを確かめたか
お知らせなどの更新 社内でするか、外に頼むか
不具合のときの窓口 最初に誰が状況を確かめ、どこに連絡するか

外に頼む場合は、この記事で作った一覧(期限、名義、ログインできる管理画面、バックアップの場所)を渡せるようにしておきます。パスワードは一覧に書かず、別の安全な方法で渡します。そして、契約の名義と管理画面のアカウントは自社に置いたまま、作業だけを頼む形 にしておくと、依頼先と連絡が取れなくなっても、今回と同じ状況になりにくくなります。

h-system でできること

h-system のサイト運用代行ライトプランでは、他社が制作したホームページも、作り直さずにそのままお預かりしています。引き受けの際に、サーバーや管理まわりの情報を確認して運用に必要な状態を整理し、その後は、稼働の監視、サーバー・基盤まわりの更新対応、不具合時の一次対応といったサーバー管理と、テキスト・画像の差し替えなど軽微な更新の月数回までの代行を、代表が直接担当します。デザインの作り替えは行いません。契約や更新を誰が見ているのか曖昧なままになっている段階でも、ご相談いただけます。料金は月額制の個別見積りで、対象となる作業はご契約の際に確認します。

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